家を建てる時、建てる土地の方位をよく聞かれますので、それぞれの特徴をお伝えしていこうと思います。
まずは南向きの土地から
よくある聞こえのいい響きはこの南向きの土地です。そして最も資産価値があると思われるものです。
理由は
・居室に光を取り入れやすい
・間取りの自由度
・道路から目につきやすく、防犯性が高い
・開放的な外観にしやすい
こんなような理由が考えられるからなんですが、はたして南向きの土地全てに当てはまるのでしょうか?
皆さんこんにちは豊橋市の設計事務所で働いておりますごうくんこと高橋です!
今月中ごろから会社の個人用インスタグラムを作りました。これから毎日投稿を目標に頑張っていきますので、よろしければご覧ください!!
居室に採光は確保しやすいのか?
さてさて、今回のお題に戻って。例えば、南向きの土地に建つ多くは、その恩恵を受けるため、基本的に南側に居室を配置し、それぞれの部屋に大きな窓を設けます。
しかしながら、これらは一見、南からの採光を確保しているように思いますが、その窓についているカーテンを閉め切っているおうちも少なくありません。それはなぜかというと視線が気になるからです。
また直接日光が入ってくる場所が増えれば、家の中が暑くなりやすいですし、テレビに反射して見えにくくなってしまいますし、直接日光の中に含まれる紫外線で床や家具が焼けやすくもなってしまいます。
このような理由も合わさり、余計にカーテンを締め切ったままにせざる得なくなる。というわけです。その結果、ついに家が薄暗くなってしまうのです。
間取りの自由度は
南向きの家を買う最大の理由は、居住スペースを南に確保しやすいからではないでしょうか…
となると、南に居住スペースを配置し、尚且つ、南に配置した部屋の南側に大きな窓をつけることを前提として間取りを決めていくことになります。つまり、南向きを買った時点で自ずと、ある程度間取りが決まってしまうというわけなので、そう考えると、間取りの自由度も決して高いとは言えないのかもしれません。
わざわざ採光が確保しやすい南向きの土地を買ったのに、あえて南に居住スペースや窓をつくらないという選択をできるのであれば話は別ですが。
防犯性高くなるのか?
南向きの土地は、南側に居住スペースをつくり、かつその南に大きな窓がある家が建つことから、ある意味、防犯性が高い家が出来上がります。というのも、外から家の中が丸見えでオープンな家になるからです。
反面、このようなお家は、窓を見ただけで家の間取りがわかってしまいますし、夜は、照明のあかりでどの部屋を使っていて、どの部屋を使っていないかが簡単にわかってしまいます。
またプライバシーを確保するために、目隠しや塀などを庭につくってしまうとせっかく丸見えになっていた庭を閉じてしまうことになり、逆に防犯性が悪くなってしまいますし、目隠しや塀を作るコストも必要となります。
防犯性の高さを維持するためには、家の中を見えるようにオープンにして、プライバシーを犠牲にし続けるか、もしくは、常にカーテンが閉じたままの薄暗い家に住み続けるか、さらに、どの部屋も夜ずっと電気をつけたまま暮らすようにしなければいけない、というわけですね。
開放的な外観ってどういうこと?
空を眺めることができて、家の中から庭や緑を眺めることができて、視覚的に空間の広がりが感じられる開放感たっぷりの室内を作ることができれば、毎日心地よく過ごせると思いませんか?
しかしながらこのような空間を作るということと、外観が開放的であるということは一切関係ありません。外観を開放的につくればつくるほど、外からの視線を防ぐためにカーテンが必要となり、家の中が薄暗くなってしまうからです。
さらに、空や外を見ることができるようにするためには、そもそもカーテンが必要ない窓をつくらないといけません。実はそれが一番難しいのが、この南向きの土地ということなんです。
ですので、上記のような内容も踏まえて冷静に選ぶようにしてくださいね。
個人的には南向きの土地が一番おすすめですよとは言い難いです。一見いい家を建てられそうと思いがちですが、逆に暮らしにくいお家になってしまうこともありがちです。もしそろそろ土地を決めなきゃと決断を迫られているご家族がありましたら一度ご相談くださいね。