高校卒業後、就職を考えたのですが、建築事務所の就職先が見つからず、就職をあきらめ、大学に通いました。大学卒業後、今度こそと就職先に建築事務所を探しましたが、現実は厳しく、国立大学出身でないと就職先はありませんでした。そこで、名古屋のインテリアや家具の設計をしている会社に就職し、建築ではなく、一度は家具などの設計の仕事に就きました。

しかし、どうしても建築家として仕事をしたいという気持ちが捨てられず、25歳で一級建築士の資格を取得。同じ会社で、建築設計の担当者として、いくつもの店舗や社屋の設計に携わりました。30歳を越えた頃、独立してやってみたいという気持ちが芽生え、生まれ育った豊橋に戻り、独立することを決意しました。

しかし、豊橋に戻り、事務所を立ち上げたのですが、まったく仕事はありませんでした。営業もせず、待つのみの期間が数年続き、自分ができることはいったい何なのだろうと考えるようになりました。自分が経験してきたこと。経験したからこそ伝えられること。ふと頭をよぎったのは、自身が幼いころに苦しんだ、喘息でした。アレルギーに困っている方々のために、建築士として何かできないだろうか…そうだ、アレルギーに特化した家を建てよう！その想いに至り、一念発起しました。

そこからというもの、本を読んだり、人に聞いたり、講習会に参加したりと、ありとあらゆる情報を取り入れました。まず、考えたのは、自然素材の家がいいのでは？ということ。しかし、自然素材の家というだけでは、アレルギーは改善しません。そこで、さらにアレルギーについて勉強を重ね、「ダニやカビを防ぎ、発生させない住宅」を考えるにいたったのです。南向きに家を建てないこと、自然の光を存分に取り入れること、卓越風を賢く利用すること。こうして、夏目デザインのアレルギーに優しい家が出来上がったのです。